各資産の週次の騰落は以下の通りです。



今週は株式市場が大きく弱含みダウ・S&P500ともに21年来の安値を更新しました。決算ではナイキが20%の減益、過剰在庫解消のための値引きやコスト増が重しとなっており株式が11%超売られる展開となりました。
指標面では注目されていた米8月PCEコアデフレーターは6.2%(前回6.4%、予想6%)、欧州9月HICPは10%(前回9.1%、予想9.7%)といずれも予想を上回り低下の兆しが未だ見えないことが示されました。
要人発言においてはFOMCメンバーのタカ派発言は継続しており、米シカゴ地区連銀のエバンス総裁は来年3月までに4.5~4.7%のレンジに引き上げ、米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は年末までに4.25~4.5%に達するとの見通しを示しています。
さて今週は英中央銀行が利上げの最中であるにも関わらず10月中旬まで量的緩和を行い、10/3から予定されていたQT(量的引き締め)も今月末まで延期すると発表し、市場に混乱が起こりました。トラス首相が発表した減税策や政府による暖房費補助政策の検討などがインフレを加速させ、国債の価値も低下することが嫌気され、債券価格が急落したことに起因します。この行動は財政ファイナンスと言い、常識を逸脱した禁じ手となります。
財政ファイナンスとは政府の財政赤字を補てんするために直接的に中央銀行が通貨を発行することを意味します(マネタイゼーションともいう)。政府が発行した国債などを中央銀行が直接引き受けて、中央銀行が政府に資金を供給することで行われます。
財政ファイナンスが行われることによって起こる副作用は下記の3つがあり
1) 財政規律の喪失
政府はどれだけ財政赤字となったとしても中央銀行から資金を調達できるため、財政を均衡させる必要がなくなってしまい、その結果放漫な財政運営が行われてしまい、歳出が無制限に拡大してしまう恐れがある。
2) インフレ
中央銀行によって貨幣が増発されるため、流通する貨幣が増えインフレが加速する。(←今回の矛盾はここ)
3) 政府や中央銀行の信用の喪失
信用が喪失されることで海外の投資家が国債投資を手控えるようになり、海外からの資金調達が難しくなる。(※ますます政府は自国内で資金調達をしなければいけなくなり、財政ファイナンスを更に加速させてしまう可能性もある)
海外からの投資資金が引き揚げられると株式、債券、通貨などが売られ、株価下落、金利上昇、通貨安につながる。また、企業に対する投資も行われなくなり、経済環境の悪化につながる。
と、暫定的な措置とはいえ、今回のBOEの行動は非常にリスクが高いと考えます。
一方で、こういった措置がまかり通るのであればFRBやほかの中央銀行もこれに倣い、仮に金融引き締めが行き過ぎ不況に転じそうになった時には、一時的に財政ファイナンスを行うのではないか、という考えを持っている方々もいらっしゃると見聞きします。これはわたしはあり得ないと考えています。理由は上記のように政府や中央銀行の信用が喪失してしまえば、市場は秩序を失いコントロールができなくなるからです。BOEは利上げをするべきで、不可避だとしても財政ファイナンスは失策だったと思います。
来週の注目指標は米ISMと雇用統計です。週の新規失業保険件数を見る限りでは未だ雇用環境は良好のようですが、消費者物価が著しい低下を認めない状況で時給がどう推移するのか注目と考えています。また10/14頃から金融セクターを皮切りに決算シーズンが本格化してくるわけですが、その前段としてISMの景況感がどう推移するのかも気にしています。
但し指標が良ければFRBがタカ色を強めている肯定材料になるでしょうし、指標が悪ければスタグフレーションが強く意識されるだけで、どのみち楽観的な展開は考えにくいと思います。むしろ決算や通貨危機を嫌気して来週は手じまいがさらに進むのではないかと考えています。
<来週の予定>
10/3(月)
日 8:50 7-9月期日銀短観・四半期大企業製造業先行き <前回値:10 予想:11>
日 8:50 7-9月期日銀短観・四半期大企業非製造業先行き <前回値:13 予想:15>
米 23:00 9月ISM製造業景況指数 <前回値:52.8 予想:52.8>
※中国休場 ~10/7
10/4(火)
豪 12:30 豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表 <前回値:2.35% 予想:2.9%>
欧 18:00 8月卸売物価指数(PPI)(前月比) <前回値:4.0% 予想:5.0%>
欧 18:00 8月卸売物価指数(PPI)(前年同月比) <前回値:37.9% 予想:43.2%>
10/5(水)
米 20:00 MBA住宅ローン申請指数(前週比) <前回値:-3.7% 予想:>
米 21:15 9月ADP雇用統計(前月比) <前回値:13.2万人 予想:20.0万人>
米 23:00 9月ISM非製造業景況指数(総合) <前回値:56.9 予想:56>
10/6(木)
独 15:00 8月製造業新規受注(前月比) <前回値:-1.1% 予想:-0.5%>
独 15:00 8月製造業新規受注(前年同月比) <前回値:-13.6% 予想:-5.7%>
欧 20:30 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
米 21:30 前週分新規失業保険申請件数 <前回値:19.3万件 予想:20.5万件>
10/7(金)
米 21:30 9月非農業部門雇用者数変化(前月比) <前回値:31.5万人 予想:25.0万人>
米 21:30 9月失業率 <前回値:3.7% 予想:3.7%>
米 21:30 9月平均時給(前月比) <前回値:0.3% 予想:0.3%>
米 21:30 9月平均時給(前年同月比) <前回値:5.2% 予想:5.1%>
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