今週は米株が強含み、特にダウは連日の最高値更新を記録しました。原油は3/15以来の66ドル台にタッチしロシア・ブラジル・英などの資源・産油国の株式市場がこれに追随して強含みました。
ナスダックは弱含み。3月中旬から2.3%台を維持してきた10年期待インフレ率(ブレークイーブンインフレ率:BEI)は先月末から2.4%台に上昇、5/5にイエレン財務長官が「米国経済の過熱を回避するため、金利はいくらか上昇する必要があるだろう」と発言したことに反応し2.47%まで急伸、金融緩和以降最高水準をマークしました。これにより金利感応度の高いハイテク株はアップルを中心に軟調、早期テーパリングも意識され利益確定売りが進みナスダックはマイナスの伸びに留まりました。

為替はドル安が進行しました。ドルインデックスは8週間ぶりの安値をつけ、コロナショック以降サポート&レジスタンスで意識されてきた89日移動平均平均線を抜けきれず先週の安値を更新しました。
週末の雇用統計が予想を大きく下回ったことで、テーパリングの前倒し懸念は一旦後退し、リスク選好度の高い豪ドル・キウイ・ユーロドルが急伸しました。特に資源国通貨でもある豪ドル米ドルは一時中国との対立に関する懸念から一旦売られたものの、その後巻き返しとなり、3/1以降に付けた高値を約2か月ぶり更新しました。

商品はリスク選好度の高い銀が上昇し4月からの上昇トレンドを継続しました。
銅は10年ぶりに最高値を更新、その他商品も軒並み強含みました。

年間の騰落をみると、驚異的な銅の伸び以上に穀物・材木も上昇しており、世界的な飼料・住宅需要に対し供給のひっ迫が顕在化していることが見て取れます。半導体に限らず素材・原料の供給不足が製造業の重しとなってきており、これに加え労働力の不足も懸念材料として挙がっています。

ISM製造業景況指数は、前月の64.7よりも弱含み60.7をつけましたが、これは上記のような材料や労働力の不足が製造オペレーション影響に繋がっているとも見て取れます。雇用統計が予想の3割弱しか満足できなかったことも、給付金の支給によって早急な労働の必要性が後退したことや、低時給業に対する労働意欲の低下の現れと考えます。
今回、平均時給が前月比+0.7%と増加しました。不足する労働力の取り合いが賃金上昇を引き起こしているのではないかと考えます。このように①金融緩和によるカネの溢れ②商品の高騰③製造業などの低時給労働に対する労働賃金の上昇などがインフレを引き起こし、マーケットの過熱 ひいては早期のテーパリングアナウンスに繋がるのかもといった憶測は継続されると思います。
しかしその一方で、目下はワクチンの高進や経済回復への期待・高めの景況感を否定する材料が出ているわけでもないため、下記の指標が冷やし材料になるかもしれないとは構えつつも、週の前半は楽観的に推移するのではないかと考えています。
来週の注目指標は下記の通りです。
5/12(水) 英 国内総生産(GDP)
英はワクチン接種が進み、約60%の成人がワクチンの1回目接種を終了したと報じられています。5月中旬以降は、海外渡航の解禁も予定されており原油の上昇も追い風となっている状況です。GDP自体は遅行指標ではありますが、この発表をきっかけに3月からの高値更新となるかもしれません。
5/12(水) 米 消費者物価指数、5/14(金) 米小売売上高
CPIコア指数は前年同月比2.3%と前月1.6%よりも上振れの予想となっています。物価上昇はすでに市場には織り込まれているものの、上振れが大きければ、再びテーパリング前倒し観測が高まると考え、株がぐらつく可能性はあると思います。
小売り売上高は、前月が9.7%と大きく上振れましたが、今回は予想1%とだいぶ控えめな数値が挙げられています。季節面での調整もあるかもしれませんが、大きく上回るようであれば株はさらに上を目指す展開もあるかもしれません。
その他FRBの高官の発言については注意が必要かと思います。現在議決権を持つメンバーはすべて緩和継続のハト派的姿勢に一貫していますが、インフレの高まりに対しての発言は注意が必要と思います。
以上により短期トレードの戦略としては、上記の指標に注意を払いつつ、全体感は株高・ドル安ではないかと考えています。株はダウを中心に考えますが、割安感の出ているナスダックのロングも13850を超えてくるようであればありかもしれません。
今週は過熱感・楽観度合いを推し量る一つの要素として、ボーイングの動きに注視したいと思います。レジャーシーズン・製造業の動きの両面から、何か見えてくる景色があるかもしれません。テクニカル的には長らくサポートとなっていた日足89日線に押し目を形成しているようにも見えます。

為替は資源国の豪米ドル・ポンドドル・ユーロドルの中から、トレンドの出ているものに絞ってロングを仕掛けたいなと考えています。トレンド転換を判断する水準を事前に定めて、あらかじめ練ったシナリオに沿ったトレードができるようにしていきたいと思います。
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